東京大学新聞は毎年3月、入試問題解答号を発行しますが、スペイン語部会教員は、交代でこの号にスペイン語学習をすすめる文章を書いてきました。東京大学新聞社のお許しを得て、ここに転載いたします。
2009年3月(竹村文彦執筆)
「スペイン語は神と話すための言葉」――十六世紀の神聖ローマ帝国皇帝カルル五世の言葉だ。スペインの空のように澄み渡り、響きのよいスペイン語は、なるほど崇高な存在と語るのにふさわしい。十数ヶ国語に通じた私の恩師の一人K先生も、「スペイン語を音読していると、他の言語では感じられない生理的な快感を覚える」と言っていた・・・つづきはこちらから
2007年3月(石橋純執筆)
スペイン語は「お得」な言語です。「学びやすく、使いでのある言葉」だからです。まず、綴り字が規則的です。「a」という綴り字は必ず「ア」と読みます。発音も簡単です。日本語とよく似て「アイウエオ」五母音からできています。子音の難しい発音もほとんどありません。 スペイン語の母語人口は約三億五千万人。二〇か国の公用語になっています。アメリカ合衆国のスペイン語人口は四千万人(総人口の14%)を超え、日本にも五〇万人のスペイン語話者が住んでいます。サッカーワールドカップの出場国のなかで一番多いのはスペイン語国。野球のメジャーリーグでも、数多くのスペイン語話者が活躍していますね。スペイン語を学べば、こうした人びとと交流することができるのです。 ・・・つづきはこちらから
2006年3月(斎藤文子執筆)
みなさんの先輩がどういう基準でスペイン語を選んだのかをお教えします。数年前、基礎演習という 授業(文系必修科目)で、学生のTさんが、一年生のおもに文系のスペイン語履修者を対象にアンケート
調査した結果です。スペイン語を選択した理由の上位四つは、1、学びやすい言語だと聞いた、2、ラ
テンのノリが好きだから・・・つづきはこちらから
2005年3月(上田博人執筆)
ラテンアメリカではラテン語が話されていると思っている人がいます。もちろん皆さんはラテンアメリカ(とヨーロッパ・イベリア半島)で使用される主な言語がスペイン語とポルトガル語であることをご存じでしょうが,ここで最新のデータをいくつか紹介したいと思います。 スペイン語の成立については10世紀ごろの手書きの資料が保存されています。さらに遡れば興味深いことにイベリア半島の一部で使われていたラテン語の文書の中にスペイン語らしさが見つかります。このようにはじめはラテン語の子孫としてヨーロッパのごく限られた地域で話されていました。・・・つづきはこちらから
2004年3月(上田博人執筆)
現スペイン語 特徴と魅力.スペイン語(espanol 「エスパニョール」)は,ラテン語がイベリア半島に伝わって以来,ゲルマン語やアラビア語の影響を受けながら十五世紀まで発展を遂げ,さらに大航海時代から世界中に普及し,現在では英語,中国語に続く使用人口を擁する大言語となりました.わかりやすい発音と規則的な文法,そして英語と共通する語が多いことが特徴です.二十カ国に及ぶスペイン語圏の国々の生活や文化は日本とは対極点にあるといってもよいほど異なるので,私たちを惹きつける強烈な魅力があります・・・つづきはこちらから
2003年3月(網野徹哉執筆)
現在スペイン語は世界二〇カ国で、三億五千万の人々が話しているという。この状況に至るまでには、長い歴史があった。一五世紀末、スペインの言語学者ネブリーハは「言語は帝国の伴侶である」と高らかに謳ったが、この言葉にあと押しされるように、征服者たちは新大陸の各地へ 乱暴にスペイン語を散種していった。メキシコの荒野に、カリブの浜辺に、アンデス山脈の谷間に、そしてアルゼンチンの大平原に蒔かれたこの言葉は、その多様な滋養を受け取りながら成長した。やがて「帝国の伴侶」であることをやめ、それぞれの道を歩み始めてゆく・・・つづきはこちらから